株式併合とは、企業が発行する株式の数を減らす手法で、経営戦略や市場状況に応じて行われます。
株式投資をする上で重要なポイントであり、知識として押さえておくべきです。この記事では、株式併合の仕組みや目的、メリット・デメリット、株価への影響について詳しく解説します。
株式併合の基本を理解し、投資判断に役立てましょう。具体的な事例として、双日の株式併合の経緯とその影響についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
株式併合ってなに?
株式併合とは、企業が発行している株式¥の数を減らすことです。
企業の経営状況や戦略によって行われることがありますが、株式投資をする上で知っておくべき重要なポイントでもあります。
この記事では、株式併合の仕組みや目的、メリット・デメリット、株価への影響などを詳しく解説します。
株式併合の仕組みと目的
仕組み
株式併合とは、企業が複数の株式を1株に統合することで、発行済み株式数を減らす手法です。
例えば、100株を1株に株式併合すると、発行済み株式数は100分の1になります。
株式併合によって、株式の価値自体は変わりませんが、1株あたりの価格は100倍になります。
つまり、株式併合は株式の数量を減らし、代わりに単位株数を増やす手法です。
目的としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 株式の管理コストの削減
- 株価の適正化
- 少数株主の排除
株式の管理コストの削減
株式が増えると基本的には株主数も増えます。
そのため、株主総会の運営や招集通知などの手続きにかかるコストが増大します。
株式を減少させることで株主の数も減るため、株式管理の効率化とコストや負担の軽減に有効な手段として株式併合が用いられるケースがあります。
株価の適正化
株価が下落していると、低位株とみなされやすく、投資判断にネガティブな影響をもたらします。株価が相対的に安いということは、それなりの理由があると思われてしまいます。
また、東京証券取引所が明示している望ましい投資単位と、自社の株価が大幅に乖離している場合も考えられます。
株式併合は既存の株式の数量を減らすことで、株式の供給量が減って需要と供給のバランスを改善し、株価を適正な水準に調整することが可能になります。
少数株主の排除
株式が分散すると、株主総会の開催や運営が複雑になり、円滑な進行が妨げられるケースも考えられます。
場合によっては、株主総会での決議が取り消されるリスクもあります。
こうした状況が続けば、少数株主の存在が企業の経営に悪影響を及ぼしかねません。
株式併合で株式をまとめると、数株の株式は1株未満の株式になります。1株未満の株式は一部の株主の権利を侵す可能性があるため、株主総会の特別決議が必要になります。
このように、株式併合を通じて、少数株主による影響を排除し、経営の安定化を図るために用いられる場合があります。
株式併合のメリットとデメリット
株式併合には、企業側と株主側の両方にメリットとデメリットがあります。
ここでは、それぞれの視点から株式併合のメリットとデメリットを見ていきましょう。
企業側のメリット
株式併合を行うことで、企業側には以下のようなメリットがあります。
- 株式の管理コストを削減できる
株式を減少させることで株主の数も減るため、株式管理の効率化とコストや負担の軽減に有効な手段として株式併合が用いられるケースがあります。
- 株価を適正な水準に調整できる
株式併合によって株価が上昇することで、投資家の信頼を高めたり、株式市場での競争力を強化したりすることができるということです。
- 少数株主を追い出すことができる
株主総会での意思決定をスムーズにしたり、企業の再建やM&Aなどの経営戦略を実行しやすくしたりすることができるということです。
- 配当金の調整がしやすくなる
株式併合によって1株あたりの配当金が増えることで、株主に対する利益還元を強化したり、配当性向を下げることで内部留保を増やしたりすることができるということです。
企業側のデメリット
一方、株式併合を行うことで、企業側には以下のようなデメリットがあります。
- 株主の権利を侵害する可能性がある
株式併合によって1株未満の株式が発生する場合、株主としての権利を失わせたり不平等を生じさせたりする可能性があるということです。
この場合、株主は会社に対して株式の買い取りを請求することができますが、買い取り価格が公正でないと感じる場合は、裁判などの紛争に発展する可能性があります。
- 株式の流動性が低下する可能性がある
株式併合によって株式の数が減ることで、市場での売買がしにくくなったり、株式の需給バランスが悪化したりする可能性があるということです。
この場合、株式の需給ギャップが拡大すると、株価の変動が激しくなったり、株式の価格が市場の実態を反映しなくなったりする恐れがあります。
- 株式併合の理由が不明確だと株価が下落する可能性がある
株式併合が企業の経営状況の悪化や株主への利益還元の低下を示すと受け取られる場合、投資家の信頼を失ったり、株式の売り圧力が高まったりする可能性があるということです。
この場合、株式併合は株価の上昇ではなく、下落のきっかけとなる可能性があります。
株主側のメリット
株式併合には、株主側にも以下のようなメリットがあります。
- 1株あたりの配当金が増える可能性がある
株式併合によって1株あたりの株価が上昇することで、配当金も同じ割合で増える可能性があるということです。
例えば、100株を1株に株式併合すると、1株あたりの配当金は100倍になります。ただし、これは企業が配当性向を変えないという前提であり、実際には企業の方針によって異なります。
- 株式の価値が高まる可能性がある
株式併合によって株価が上昇することで、株式の価値が高まるということです。
株式併合は企業の経営効率化や株式市場での競争力強化などのポジティブなシグナルとして受け止められる場合があります。
この場合、株式併合は株主にとって有利な情報となります。
- 株式の売買がしやすくなる可能性がある
株式併合によって株価が上昇することで、株式の売買にかかる手数料や税金が相対的に安くなる可能性があるということです。
株式の売買には、株式の価格に応じて手数料や税金が発生しますが、株式併合によって株式の数が減ることで、売買にかかるコストが減る可能性があります。
この場合、株式併合は株主にとって取引のしやすさを向上させる可能性があります。
株主側のデメリット
一方、株式併合には、株主側にも以下のようなデメリットがあります。
- 1株未満の株式が発生する可能性がある
株式併合によって1株未満の株式が発生する場合、株主としての権利を失ったり不平等を生じさせたりする可能性があるということです。
この場合、株主は会社に対して株式の買い取りを請求することができますが、買い取り価格が公正でないと感じる場合は、裁判などの紛争に発展する可能性があります。
- 株式の価値が下がる可能性がある
株式併合が企業の経営状況の悪化や株主への利益還元の低下を示すと受け取られる場合、投資家の信頼を失ったり、株式の売り圧力が高まったりする可能性があるということです。
この場合、株式併合は株価の上昇ではなく、下落のきっかけとなる可能性があります。
- 株式の流動性が低下する可能性がある
株式の流動性が低下する可能性があるというデメリットは、株式併合によって株式の数が減ることで、市場での売買がしにくくなったり、株式の需給バランスが悪化したりする可能性があるということです。
この場合、株式の需給ギャップが拡大すると、株価の変動が激しくなったり、株式の価格が市場の実態を反映しなくなったりする恐れがあります。
株式併合の株価への影響
株式併合は、株式の数量を減らし、代わりに単位株数を増やす手法ですが、株式の価値自体は変わりません。
しかし、株式併合によって株価が上昇することで、投資家の心理や市場の動向に影響を与える可能性があります。株式併合の株価への影響は、以下のように分類できます。
- 株式併合前の株価の動き
株式併合の発表は、企業の経営状況や戦略に関する重要な情報として、株価に影響を与える可能性があります。
株式併合の発表がポジティブなシグナルとして受け止められる場合は、株価が上昇する可能性があります。
逆に、株式併合の発表がネガティブなシグナルとして受け止められる場合は、株価が下落する可能性があります。
株式併合の発表が株価に与える影響は、株式併合の理由や目的、株式併合の比率や条件、株式併合の時期やスケジュールなどによって異なります。
- 株式併合後の株価の動き
株式併合の実施日には、株式の数量が減り、代わりに単位株数が増えることで、株価が株式併合の比率に応じて上昇します。
例えば、100株を1株に株式併合すると、株価は100倍になります。
しかし、これは単なる数値上の変化であり、株式の価値自体は変わりません。
株式併合の実施日以降の株価の動きは、株式併合の効果や影響によって決まります。
株式併合が企業の経営効率化や株式市場での競争力強化などのポジティブな効果をもたらす場合は、株価がさらに上昇する可能性があります。
逆に、株式併合が企業の経営状況の悪化や株主への利益還元の低下などのネガティブな影響をもたらす場合は、株価が下落する可能性があります。
株式併合の実施日以降の株価の動きは、企業の業績や市場の環境などによって異なります。
- 株式併合の長期的な株価の動き
株式併合の長期的な株価の動きは、株式併合の目的や効果によって大きく異なります。
株式併合は、企業の経営状況や戦略に関する重要な情報として、投資家の心理や市場の動向に影響を与える可能性があります。
株式併合が企業の成長や収益性の向上などのポジティブな戦略として行われる場合は、株価が長期的に上昇する可能性があります。
逆に、株式併合が企業の危機や低迷などのネガティブな状況の対処として行われる場合は、株価が長期的に下落する可能性があります。
株式併合の長期的な株価の動きは、株式併合の理由や目的が明確であるかどうか、株式併合の効果や影響が持続的であるかどうか、株式併合に伴うリスクやコストが低いかどうかなどによって異なります。
まとめ
株式併合とは、企業が発行している株式の数を減らすことで、株価や株主の権利などに影響を与える手法です。
株式併合には、企業側と株主側の両方にメリットとデメリットがあります。
株式併合の株価への影響は、株式併合の発表や実施、長期的な効果などによって異なります。
株式併合は、企業の経営状況や戦略に関する重要な情報として、投資家の心理や市場の動向に影響を与える可能性があります。
株式投資をする上で、株式併合について知っておくことは有益です。株式併合に関するニュースや情報には、常に注意深く目を向けるようにしましょう。
私が経験した双日の株式併合について
私が所持していた双日という会社も、実は株式併合しています。
その時の私の心境についてお話します。
株式併合の目的は、株式の投資単位を5万円以上50万円未満にすることで、個人投資家が投資しやすい環境を整備することでした。株式併合の効果は、株価の適正化や株主への利益還元の増加などが期待されます。
株式併合の実施日(2021年10月1日)から現在(2023年9月22日)までの双日の株価の推移を見ると、株式併合後の株価は1,535円から2,200円に上昇しています1。
これは、株式併合前の株価に換算すると、307円から440円に上昇していることに相当します。この期間における東証一部の平均騰落率は約15%です。
双日の株価の上昇率は約43%となっており、市場平均を大きく上回っています。
このことから、株式併合が株価の上昇に寄与したと考えられます。
また、株式併合後の2022年3月期の配当金は、35円と発表されました3。
株式併合前の2021年3月期の配当金は、6円でした4ので、配当金は1円増加しています。
このことから、株式併合が株主への利益還元の増加に寄与したと考えられます。
以上のことから、双日の株式併合は、株式の投資単位を適正化するとともに、株価の上昇や配当金の増加などのポジティブな効果をもたらしたといえます。
したがって、双日の株式併合は、よい結果といえると思います。
私は結果として株式を売却しましたが、それに至るまでは色々な葛藤がありました。
当日は単元未満株の売買がなかったので、完全に浮いた株になってしまうと考え、買い足すか売却するかで悩みました。
2024年2月4日時点で言えば、買い足しして100株持っておくほうが正解でしたね。
でも、これに関しては正解が存在しませんので、自分で腹落ちした行動をすれば、後悔はないと思います。
私自身も当時の行動に後悔はありません。
今後も有益な情報を発信しますので、よかったら御覧ください。